銅板画は銅板に様々な方法で窪みをつけ、インクをつめた後、
プレス機で圧をかけインクを紙にすくいとる方法です。
線の細やかさや、黒の深さ、折り重なる色彩などそれぞれの作家の表現をご覧ください。
展示作家
小河原康男
片桐ひろえ
上砂理佳
佐藤杏子
重野克明
中林忠良
平尾広美
三浦麻梨乃
<おすすめ作品>
佐藤杏子
「00-NO.10」
意識して描くことを一切考えないようにしている作家です。
言葉による先入観から作品を引き離すという意味もあってタイトルもつけていません。
研ぎ澄まされた線とモノトーンの画面は水墨画のようにも感じられます。
どの季節にも合い、また和室でも洋室でも飾れて、
凛としてモダンな印象も受けます。
武内伸夫
1949年 群馬県前橋市出身。
鈴木英人の版画に憧れて独学で絵を学び版画制作を始めた作家は、
自身が憧れた1950~60年代のアメリカを愛情たっぷりに表現しています。
懐かしくて新しい、ポップで突き抜けた「明るさ」を感じさせます。
今回は武内伸夫の作品を12枚展示中です。
永瀬義郎「浪漫」
無駄のないのびやかな線と色で鳥と人物の間にやわらかな空気を感じる一枚です。
永瀬義郎が創り出した版画技法「ナガセプリント73」で作られています。
シルクスクリーンを基礎としながらも、濃淡による遠近感の表現を可能にした、
オリジナルの発色をお楽しみ下さい。
オノサトトシノブ「シルク25」
丸・三角・四角からなる全てのものが集約する独自の世界を確立。
油絵以外にもシルクスクリーン版画を200点余残しました。
戦前、戦後と親友の瑛九とともに前衛美術の道を歩み続けた日本を代表する抽象画のパイオニアです。
「私は〈幻想〉を好まない。私の仕事にとって最も重要なことは、〈実存〉ということだ。
符号としての純粋物(色彩)を頭脳組織の打出す指示にしたがって、配列し、つみかさねることだ」(作家の言葉より)
この独自の思想によって生み出された作品は、作者の精神の結晶そのものであると言えるでしょう。
オノサトトシノブの他、アイオー、二階武宏、小林ドンゲなど、
初夏をイメージする作品を展示中です。
<おすすめ作品>
坂爪厚生「サファリランドー飽食ー」メゾチント
1980年代、崩壊する価値観、概念の変貌をジグソーパズルで描いた、
「サファリランド」シリーズの中の一枚。
〈形〉を壊すことによって〈概念〉脆さと不安を表現して、
「現実疑視」のメッセージを送り出しています。